ぬくもり

あたたかくして寝よう。

傍にある

 

枕元に置い黒い影が立っている

私をじっと見下ろしている

 

絶望の気配がする

 

 

元彼に振られて半年以上経過して、もう殆ど思い返すことなどなくなった。彼のことをずっと人間として好きだったが、この先の長い時を共有できる相手ではなかった。彼も同じ認識だった。そんな私も今はもう新しい人と交際していて、当然にその人を愛している。

私は未来のことを考えて怖くなる。

今までの別れ話は相手から切り出されていた。明確な発端もなく、喧嘩別れでもなく、いつもの調子で私に別れ話を切り出してどこかに行ってしまった。私はその度に悲しくて、恥ずかしくて、情けなかった。彼を手放しに愛してた自分が酷く愚かに思えて、過去の自分を叱責した。

今まで付き合ってきた人になんの過不足もなかった。優しい人たちだった。だからこそ私は今怖くてたまらない。あの瞬間がいつ訪れるか分からない、そんな恐怖に苛まれている。

他人の言動で感情が突き動かされるのに疲れているのに、自分に向けられる好意で湧き上がる喜びを否定できない。

彼の人柄を好きになって、性格が愛おしくなって、そんな自分の大好きな人も、結局は一方通行だということを知っている。

せめて、私があなたに迷惑をかけないように努力をするくらいしか。