人格
実験で使っためだかを、研究が終わってからもなんとなくそのまま飼い続けている理系の大学院生に、『持って帰りな』と渡されたサンドウィッチが満員電車に押し潰されて死にたくなった。
風上で、歩きながら平然とタバコをふかすじじいを殺したくなった。
そんな今日。
私は日常に転がる些細な喜びを感じ取れる神経をもっている。しかしそれと同様に些細な苦しみにも敏感である。
故に感情の振り幅が人より大きい。
小さな喜びで満たされる容量が1GBほどの心はその中でぎちぎちに不要なデータが詰まってきて、もはやパンクしている。キャッシュクリアしたい。
しかも厄介なのは振り幅が大きいだけでなく振り切れるスピードが速すぎるところだ。
腹が立ってても何かいいことがあるとすぐ機嫌が治る。逆にるんるんな時も何か気に触ることがあるとすぐ不機嫌になる。まるで3歳児だ。自分でも自分の扱いにくさを日々感じているし、それをわかった上で感情が制御できなかった日にはとんでもない自己嫌悪で自分を100回以上殺す。頭の中で。
私は自分のことを誰よりもわかっていると自負している分、許せないことがあるけども、それを直そうとしないところまで理解してしまっているからなんだか人格がふわふわしてきてしまう。
『私という人間』を、私自身ではなくどこか他人事のように眺めている気分。
今日レモンを切っていて指から血を流した女の子は、私はてっきり包丁で切ってしまったのだと思ったけれど、どうやらもともとあったささくれにレモン汁がはねて血が出たらしい。
その言葉通り包丁には血は一滴もついてかったが、切り途中のレモンには血が滲んでいた。
レモン汁で血が出る…………
果たしてそんなことがあるのだろうか。
ググれカス。